~小鳥の巻~

私と小鳥と鈴と

私が両手をひろげても、

お空はちっとも飛べないが、

飛べる小鳥は私のように、

地面を速く走れない。

 

私がからだをゆすっても、

きれいな音は出ないけど、

あの鳴る鈴は私のように、

たくさんな唄は知らないよ。

 

鈴と、小鳥と、それから私、

みんなちがって、みんないい。

 

誰も知らない野の果てで

青い小鳥が死にました。

  さむい、さむい、くれ方に。

 

そのなきがらを埋めよとて

お空は雪を撒きました。

  ふかく、ふかく、音もなく。

 

人は知らねど、人里の、

家もおともにたちました。

  しろい、しろい、被衣着て。

 

やがてあけゆくあくる朝、

お空はみごとに晴れました。

あおく、あおく、うつくしく。

 

小さいきれいなたましいの、

神さまのお国へゆくみちを、

  ひろく、ひろく、あけようと。

 

誰がほんとを

誰がほんとをいうでしょう、

私のことを、わたしに。

  よその小母さんはほめたけど、

  なんだかすこうし笑ってた。

 

誰がほんとをいうでしょう、

花にきいたら首ふった。

  それもそのはず、花たちは、

  みんな、あんなにきれいだもの。

 

誰がほんとをいうのでしょう、

小鳥にきいたら逃げちゃった。

きっといけないことなのよ、

だから、言わずに飛んだのよ。

 

誰がほんとをいうのでしょう、

かあさんにきくのは、おかしいし、

  (私は、かわいい、いい子なの、

  それとも、おかしなおかおなの。)

 

誰がほんとをいうでしょう、

わたしのことをわたしに。

 

小鳥は

小 枝 のてっぺんに、

子供は

木かげの鞦韆に、

小ちゃな葉っぱは

芽のなかに。

 

あの木は、

あの木は、

うれしかろ。

 

春の朝

雀がなくな、

いい日和だな、

うっとり、うっとり

ねむいな。

 

上の瞼はあこうか、

下の瞼はまァだよ、

うっとり、うっとり

ねむいな。