~果実の巻~

どんぐり

どんぐり山で

どんぐりひろて、

お帽子にいれて、

前かけにいれて、

お山を降りりゃ、

お帽子が邪魔よ、

辷ればこわい、

どんぐり捨てて

お帽子をかぶる。

お山を出たら

野は花ざかり、

お花を摘めば、

前かけ邪魔よ、

とうとうどんぐり

みんな捨てる。

 

お菓子

いたずらに一つかくした

弟のお菓子。

たべるもんかと思ってて、

たべてしまった、

一つのお菓子。

 

母さんが二つッていったら、

どうしよう。

 

おいてみて

とってみてまたおいてみて、

それでも弟が来ないから、

たべてしまった、

二つめのお菓子。

 

にがいお菓子、

かなしいお菓子。

 

みんなを 好き に

私は好きになりたいな、

何でもかんでもみいんな。

 

葱も、トマトも、おさかなも、

残らず好きになりたいな。

 

うちのおかずは、みいんな、

母さまがおつくりなったもの。

 

私は好きになりたいな、

誰でもかれでもみいんな。

 

お医者さんでも、烏でも、

残らず好きになりたいな。

 

世界のものはみィんな、

神さまがおつくりなったもの。

 

もういいの

――もういいの。

――まあだだよ。

枇杷の木の下と、

牡丹のかげで、

かくれんぼの子供。

 

――もういいの。

――まあだだよ。

枇杷の木の枝と、

あおい実のなかで、

小鳥と、枇杷と。

 

――もういいの。

――まあだだよ。

青い空のそとと、

黒い土のなかで、

夏と、春と 。

 

お花が 散 って

実が熟れて、

 

その実が落ちて

葉が落ちて、

 

それから芽が出て

花が咲く。

 

そうして何べん

まわったら、

この木は御用が

すむかしら。